黙読時における音韻情報の活用について

 2016-10-06
今日は見るからに硬いタイトル
Phonological Information in Silent Readingについて。

最近TOEICツイッターコミュニティーで、

速く読むためには、頭の中で音にしてはいけない

というような主張が繰り返し見られるが、
それは何らかのエビデンスに基づいた発言なのだろうか。
漢字のように一字一字が意味を持つ表意文字と違い、
文字そのものが意味を表すわけではない英語において、
視覚情報として入った文字の組み合わせを
脳内で音韻情報に変換することなく意味を理解することが、
英語を外国語として学ぶ我々に取って可能なのだろうか。
可能だとしてもそれが速く正確に理解するための得策なのだろうか。
黙読時における音韻情報の活用の有効性は、
学説として完全に否定されているのだろうか。

軽くネットサーチして出てきた、新しそうな論文のAbstract

Date: 24 June 2015
The Roles of Phonology in Silent Reading: A Selective Review
Charles Clifton Jr.

This chapter presents a selective review of evidence about how phonological representations are involved in silent reading. Knowledge of the mapping of orthography onto phonology appears to be important in skilled reading, and this knowledge is applied very early in the process of recognizing words in isolation. The same is true when one is reading sentences and texts, and the creation of a phonological representation of a text appears to play a critical role in guiding the movement of the eyes during reading. Phonological representations beyond the level of the individual word, including prosodic representations, also seem to play an important role in guiding parsing and in integrating discourse.

初心者の方には難しい英文かもしれないが、
要するに、

黙読時も音韻情報の活用は重要

だと言っているのだ。

この先は、有料なので、残念ながら本文を読むことはできないが、
しっかりと、Journal に publishされたarticleであるからには、
何らかの、実験/調査に基づいて
音韻情報の活用の有効性を示す
統計学的に有意な差が見られたということだろう。
それも、この論文が、A Selective Reviewであるということは、
おそらくmeta-analysis (様々な論文結果をreview分析したもの)なので、
黙読時の音韻情報活用の有効性を支持した論文は
多数あるということである。

黙読時における音韻情報の活用は、psycholinguisticsの分野において、
長い間論議されている話題であるので、
「頭の中の音」がよいとか悪いとかいう結論をここで出す気はない。
しかし、母国語よりも短期記憶の弱い外国語を
視覚情報という一つの情報を基に処理しようとするよりも、
音韻情報も活用したほうが、効果的であるという可能性を
いたずらに否定するべきではないと思う。

    


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